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迷い道2(ホーパパ×23号まだ未遂)

・迷い道

 

 

02

 

入門許可の出たホーエンハイムは警備責任者の輿に同乗させてもらい彼の友人の家に向かうことになった。
「2人乗ってしまっても大丈夫なのだろうか?重くは?」
輿を運ぶ男に話しかけてみる。
目の前に座る警備責任者が代わりに答える
「輿ははじめてですかな?」
「ええ、私はラクダばかりで、私の国では輿は女性の近距離移動用です。」
「なるほど」
世間話をしていると、ホーエンハイムがクセルクセスにいた頃使えていた屋敷が目の前だ。
門をくぐりながら、やはりこのなんとなく見覚えのある警備責任者は主人の友人であったのだ。
モザイクタイルの美しい車寄せに輿がおろされる。
先に降りた警備責任者にうながされてホーエンハイムも降りる。
案内された贅をこらした応接室にずいぶん久しぶり1000年は昔の姿の主人がいた。
目の前の主人の歳から行くと、今はこの都市の崩壊の日の10年ほど前の時間軸になるのだろう。
「私はクレタの西側エウロペイアからきたフィリップス・アウレオルス・テオフラストゥス・ボンバストゥス・ヴァン・ホーエンハイムも申します。本日はお招きありがとうございます。」
主人に客としてもてなされるという不思議な体験に内心苦笑しつつ挨拶をした。
気むずかし屋の主人が実に気分よさげにわらっている。
それから、ささやかな宴だと夕食に誘われ3人で夕食を共にした。
目下の所ホーエンハイムの研究であると2人が信じている天文の話や主人の錬金術の話などを聞きつつ夜は更けていった。
翌日ホーエンハイムはラクダや護衛の手配をすすめている。時間を渡った砂漠の地点に戻ってみようとおもったからだ、場所なのか事象なのかは不明だか何らかの手がかりはあるだろうとふんでいる。主人にもあと数日で出立を伝えた。非常に残念がって引き留めてはくれたが、ホーエンハイムがこの時間軸に長く居ることはあまりよいことではない。
この時間軸にない知恵を落とさぬうちに帰らねばならない。知恵の小人が誕生しているかしていないかの微妙な時間にあたるのだ、もしも誕生していないのなら、ホーエンハイムの持つ真理の知恵がよくない影響を与える可能性も無いわけではないからだ。
主人と連日話し込んではいたがその内容はあくまでもこの時代の天文学の内容だった。
その夜、与えられた部屋まで燭台を持った使用人に先導されながら戻ったホーエンハイムを待っていたのは、少年と女性だった。
後ろに陰のように年嵩の女性がもう1人控えている。
彼女は客の身の回りの世話と目の前の不慣れそうな2人に対するフォローとして送り込まれたのだろう。
この状態の意味するところは一つだ。
「その…私達ご主人様からお客様をおもてなしするようにと申しつけられております。」
「…」
若い女性がちらりと横にいる少年に目をやりホーエンハイムにつげた。
ホーエンハイムは目を覆いたくなる。目の前に居るのは過去の自分だ、このとき自分はどうしただろうか…
まざまざと思い出された。
「お館様より贈り物でございます。」
年嵩の女性がしっかりした声音でつげた。
長い時間とともに曖昧になった記憶がじわじわと思い出される。
このとき確か、自分は客と同じ色合いで珍しいという趣向で選ばれ、女性は主人の持ち物の中で愛らしく従順という理由で選ばれ送り込まれたのだ。
年嵩の女性はこの館の女性の使用人を束ねる婦長で、彼女が目付として送り込まれるとはホーエンハイムは主人にえらく気に入られたようだ。
贈り物をこのまま返してはならないわけではないが主人の性格を考えると、このまま返しては過去の自分と女性は罰を受けることになるだろう。
趣味に合わなかったで納得して欲しいものだ。
目の前の過去の自分はなにか決意しているらしくじっとこちらを見ている。
「すまないけれど先に風呂をいただくよ、今日もラクダの手配に出て砂をかぶっているからね」
「私の国の風呂は温水浴でね、だいぶ慣れはしたのだが蒸し風呂の使い方には慣れていなくて心許ない」
「すまないが風呂につきあってくれるかな」
昔の自分を風呂に誘う。
「あなたには彼女をお願いしても?」
「かしこまりました。支度をいたします。」
婦長がすいっと礼をとり、女性を連れて出て行った。
ホーエンハイムは過去の自分と一緒に中庭に出て向かい側の棟の浴室に向かって歩き出す。
「それで、君は私に言いたいことがあるのだろう?言ってみなさい。」
にっこり笑ってうながしてやったが…自分に向かってほほえむのはなんだか奇妙なきがした。

つづく

 

 


・迷い道