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駆け落ち

駆け落ち

 

12月のある日エドワード・エルリックが東方司令部を訪れた。
その日ロイ・マスタング大佐は何時もどおり部下が運転する車で通用門をぬけ、車寄せに降り立った。
総務課の横をぬけ階段を登り、食堂のそばを横切り、通信室、施設管理科のそばを通り
警備部の夜勤組に挨拶を送り自身の執務室のある階へと続く階段を登って行ったのだった。
司令部の心臓部に容易に侵入者を入れないように複雑な造りになっているので執務室までの道のりは思っているよりもずっと遠い。
通い慣れたいつものコースだった。
執務室のフロアまで来るとほとんど人が居ない。
角を曲がって執務室の扉が見えたとき何時何時もと違う赤いものが扉の前であぐらをかいて座っていた。
「ひさしぶり」
何でもないことのようにロイに気がついたエドワードが手をあげる。
「お帰り」
いつもなら、警備科の前を通った時点で誰かが鋼の錬金術師の来訪を伝えて来るのだが
それが無かったと言うことは正規のルート外の方法で来たか、昨日遅くに到着してここにいたのだろうか。
「君一体どうやってここまで上がってきたのかね?」
「不法侵入はしてないぜ?」
「とりあえず入りたまえ」
ロイは扉を開けてやったのだった。

それから数時間後、報告を終了したエドワードは
ある作戦の資料をロイの命令で検分していた。
年末というのは忙しい忙しいといながら、何故かツキアイの多い季節で、
本日エドワードは公務として収益金が寄付に回るいわゆるチャリティー歌劇の鑑賞することになっていた。
うっかりこんな時期に帰ってきたのが運の尽きとロイに命令を出されてしまったのだ。
しかしながら、錬金術師という生き物はおおよそ一般的見解からは外れた感想をもつようで、
エドワードとロイも例にもれず、情緒や情動といったものが通常とは微妙な角度にずれている。
そんな連中が世間並に擬態するために事前に取る行動は決まっている。
ロイはエドワードに予習を求めたのだった。
そんなわけでエドワードは古典作品を相手に格闘していた。
読み始めてしばらくエドワードに変化はなかったが本が丁度半分ぐらいの頃からエドワードの眉がいかにも困惑していますな形状に変化した。
「なあなあ、これってどおいうこと?」
読み終わったエドワードがペーパーバッグをプラプラさせながら不満そうにしている。
「なんだね」
ロイは書類から顔をあげ、無言で感想を促す。
「俺的にはふつうに実家出ればいいだけに見えるんだけど気のせいか?」
エドワードからあまりに予想通りすぎる言葉が飛び出した。
「正直・・こんな無能とは別れるべきだよな」
「君ね…悲恋モノの恋愛小説を読んだ感想がそれとは非常に嘆かわしい限りだね」
ロイは自分が昔、この古典文学を読んだときの感想を思い出しながら心の中で密かに爆笑していた。
「こいつと逃げても苦労するだけだと思うな~」
「まず、逃走前に金作るのは必須だろ。家財道具売り飛ばしたら取りあえず資金にはなる」
「次、ラブホとか安宿は手が真っ先に入るから中堅のホテルに泊まるのはきまりだな」
「んで、その後ほとぼり冷めたら安宿に移動だぜ」
「もしくは、空き家とか空き部屋でこっそりってのも悪くない選択だよな!」
たたみかけるように脱獄ならぬ、駆け落ち計画がすらすらと立案される。
「鋼の生臭い感想はやめたまえ…お話だから」
ロイは妙に具体的なエドワードの作戦にまったをかけた。
「君…嫌に詳しいのは体験」
とてとてと近づいて来たエドワードから拳が飛んできた。
「ぐほっ」
「テメエがしっかり働かねえから、俺がテロ屋なんかに狙われるんだ!
しっかり取り締まれよな!」
エドワードの似つかわしくなくこっそり行動していたのは、どうやらテロリストに見つからないように身分をかくして逃げ回っていたということらしい。
ロイはつつかなくていい藪をつついてしまう自分の性格を呪った。
鋼の錬金術師による、行動の評価と逃走潜伏の作戦立案訓練はまだつづくらしい。
「一緒に逃げてなんでこのざまなんだ!俺は、この手のぬけた男とはつきわわねえから大丈夫だぜ?」
「それはいざとなったら私と逃げてくれるということかな?」
「自信たっぷりじゃねえか?」
至近距離のエドワードの金色の目は笑っていなかった。
ロイの背中を冷たい汗が伝った。
「俺とにげてみるか?」

「まあいいや」
と呟いて可愛いキスを残して執務室を出て行く。
「また夜な!」
軽い音でドアが閉まった。
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またしても途中で力尽きたSSです。
ありがち過ぎて…
去年の年末あたりにかいて、SNSの日記に置き逃げしたものです。
サイトに上げなかったのはなぜかしら…?
エドワードさんの本日の読書はロミジュリだったようです。
深く突っ込んではいけません…。
本当は心中ネタをつつきたかったんですけどね。
殺しても死なない方々ですから私ごとき妄想レベルでは無理でした。敗北

 

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