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花冠13話

 

花冠13話

 

日も暮れて世間では夕食時も終わった時間
さんざんまわり道をして細心の注意でエドワードは東方司令部にもどってきていた。
念のため資料室だ、トイレだ、仮眠室だと経由し満室で居ることろがないという口実を手に入れた上でトランクを抱えて後見人の部屋を訪れた。
珍しく一応ノックなんぞもしてみる。
すぐに入れと返事があったので不味い相談の最中ではなかったのだろう。
「どうした鋼の?」
ロイが書類から目を離さずに聞いてくる。
エドワードはあらかじめ用意してあったいいわけをする。
「いつもの宿も仮眠室も今日は埋まってて、ソファー貸して?」
「それはそれは」
くすくすと笑いながらロイは書類を置きエドワードに目をあわす。
「災難だったな、アルフォンスはどうした?」
「アルも宿探し中。だから仮眠室をあてにしてたんだけど、今日はいっぱいで」
「なるほど、二人で私の家に来ればいい」
大佐の予想外の返事にエドワードは少し目を見開く。
「でも、大佐は今日は帰れないだろ?家主の居ない家にいるってものなんか悪いし」
さりげなく時々お泊まりをしていることを臭わせつつも本人が居ないのに家に入って待つほどには近くないという会話をどこかで聞いているかもしれない誰かの為に演じる。
「あー。こっちにいる方が邪魔?」
ぼそぼそとつけたす。
「どちらでも君の好きにするといい。どちらにしてもアルフォンスには迎えを出しておくよ。」
そういうとロイはさっさと電話を取り迎えを手配する。
「鋼の、夕食はすんだのか?」
「んーー。まだだぜ、いろいろ買っはあるんだけど食べるとこもなくって」
「ここで、夕食にするといい。茶ぐらいはいれてやろう」
ロイはエドワードが入ってきたのとは違う執務室に入って左側の扉に向いポケットに入れていたカギを使う。
「ここ茶なんて入れられるんだ」
「いつもは中尉がいれてくれるから滅多に使うことはないがね」
「へー。」
「私のロッカースペースが隣にあってね。そこに小さいが給湯設備と仮眠用のソファーもある。」
物珍しげにトコトコと小さな給湯スペースに向かっていく
「おやおや君がお茶をいれてくれるのかい?」
「ついでに飯も分けてやるよ」
軽口を交わしながら二人の姿が隣室に消えた。
扉を閉めた途端二人を取り巻く空気が一変する。
3畳程度の私物ロッカー兼仮眠室は窓もなく三方をしっかり壁に囲まれた小さな部屋だが小型の給湯設備とロッカーとこれまた狭苦しい壁に折り畳んで収納可能な、シート兼仮眠ベッドを装備したせせこましい部屋だ。部屋に入った途端四方が壁で光が漏れないのをいいことにエドワードは錬成で壁の組成を一律防音仕様で均一に作り変えた。
均一にしてしまえば、万が一何か仕掛けられていても丸ごと役たたずにしてしまえるというわけだ。
エドワードは書庫でしたように、ロイの耳に直接音を流し込むようにべったりくっついた距離からそっと話かける。
「おいおい。自分の執務室でもあんなかよ。」
「念には念だ、君も念を入れてきただろう?」
その表情はこの役者めと言っている。
ここに来る理由を数時間かけて用意したのだからそれなりに念は入れたといってもいいだろう。
「まあな。この部屋は?」
「ここは私の仕掛け部屋でね。」
目の前の男が仕掛け部屋だということは、今日も作戦から帰ってからマスタング組のメンバーで少なくともこの部屋は総ざらえしたということだ。
「そういうことね。了解了解」
「小声で頼むよ」
「しかしまた部屋丸ごと作り変えるとは君も豪快だな、相変わらずの魔法の手だ」
そっと手をとり口づけた。
ロイは水道から水を汲み備え付けの小さなコンロに薬缶を乗せ火をつけると、収納してあったソファー兼仮眠用ベッドの固定金具を外し、座る場所を作った。
壁に寄りかかってたっているエドワードが口を開く、話こんで疑われては回りくどい方法で司令部に戻った意味がない、この後矛盾が出ないように軽く夕食を済ませてしまわなければならないのだから、わずかな時間も惜しい。
「とりあえず、頼みがある。今分かってるだけでいいからこないだの中佐みたいに首輪つきの奴の資料をくれよな。俺じゃ穏便に手にはらねえから。」
「おやおや、君の頼みとしては珍しい部類だね。」
「今回は知っとかないと咄嗟に対処できねえ」
「鋼の、知ってしまうと後戻り出来なくなる」
ロイはエドワードに視線を固定し硬い表情だ
「もうすでに…戻れないろ?」
エドワードはニヤリと笑って答えた。
全くもってその通りではあるがロイはよりマシな選択肢を選んでほしいと願う。
「どうだった?薬は出た?」
作戦で狩ってきた全員の薬物検査結果と家宅捜索の結果をロイに聞く。
「ああ、薬も出た」
「じゃ一応作戦成功だな」
これだけの大がかりな作戦をしいて薬がでなかったでは済まされない。
何かしらでただけでもずいぶんと違う、事件の進展にとってもロイの進退にとってもよい。
「まあそうなんだが、君は覚えているかね。
作戦前の時点で話したと思うが人体からは薬物が検出されないのだよ」
「そして、紙から検出された薬については詳しいことは分かっていない」
ロイの表情は芳しくない
「あのさ、どこまで分かってるか俺は聞かない方がいってことか?」
エドワードが真剣な表情でロイに問うたときだ、突然電話が鳴り出した。

 

 

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