花冠11話
花冠11
ハボック小隊のフォワードが勢いよく戸を開け放ち発煙筒を投げ込む
壁に隠れるようにしていたハボック隊は一瞬の間を置いて突入した。
「麻薬所持容疑で逮捕する」
ハボックは申し訳程度に罪状を大声で読み上げながらボディーガードらしき体格のよい黒服に向けてゴム弾を発射する。
もろに腹に食らった男は床をバウンドする。
ハボック隊は猟犬よろしくターゲットに襲いかかる。
イーストの裏社会で頂点に限りなく近い位置に立つ男を守る護衛は踏み込まれたぐらいでは戦意を喪失することはなく、護衛対象を守りつつも果敢に挑んでくる。
しかし、旗色が悪く部屋の奥へ奥へと押されていく、最上階1フロアを贅沢につかったスイートルームだけあって広い
ハボック隊はじりじり敵戦力を削りながら進む。
後退を余儀なくされた黒服の一人が後ろ手に次の間の戸を開け仲間と共に滑り込んだ
黒服がハボック達を相手に再び防戦を開始するわずかな隙に、外へつながる窓から山ほどのゴム弾が発射された。
ホテルの外壁に張り付いていたエドワードがゴム弾の機銃を錬成して文字通りぶっ放したのだ。
あり得ない方向からの攻撃に敵が一瞬呆然とした隙にゴム弾を物ともせずハボック隊が躍りかかった。
抜群のコンビネーションとよんで差し支えないタイミングで連携にし敵勢力は沈黙した。
床にのびた男達をハボック達は慣れた手つきで全員拘束した。
溶けたように変形した壁材の割にくっきりそのままの姿の窓枠のコントラストが奇妙な窓に悠々と腰掛けたエドワードにあきれたように声をかける。
「エド…お前…機銃錬成って」
「重火器って反動がきついから、機械鎧に良くないんだよ、ゴム弾にしたから少々当っても少尉達の班はどってことねえだろ?」
さわやかな笑顔でエドワードがとんでもないことを言ってくる。
その程度ではひるまないだろう?と
結構ゴム弾はあたると痛い、今回の場合はエドワードが強さを加減して打ち出しているので骨折をするようなこともないが、顔などは守らねばならないのでうまく使えば敵の勢いをそぐことも可能となる。
「あんまり室内攻めるのに使わんからな、うちの連中もびっくりしたと思うぜ」
ハボックとエドワードが話している間にも黙々とハボック隊の隊員達は拘束した男達を搬出する。
「でも窓側が俺一人だったし、あれだけの数を抑えるつもりだったらアレしか思いつかなかったし」
ケンカがうますぎるというか、闘いがうまい。
ハボックは皮肉屋で実力主義の上司の側に当たり前のようにエドワードを置く訳がわかった気がする。
「いつもアルとああやって挟み撃ちで仕掛けてるからさ」
兄弟だエドワードの派手な行動に隠れて目立たないがアルフォンスも五十歩百歩だ…ということをよく覚えておこうとハボックは誓った。
ハボックは背中にイヤな汗を流しながらあたりさわり無く返事する。
「そうなのか」
「キメラとか相手にするんだったらもっと本命の方を大口径の使って、囮にあれ使ってる
こっそりいきたい時はボウガンバージョンにするし?
それなりに考えてるんだけどまずかったかな」
けろりと言うクソガキが憎らしいとハボックは自分が15のころを思いだしつつ思う
エドワード本人の申告どおりかなり荒っぽいのも得意らしい。
某少佐の決めゼリフ作って壊す!これぞ錬金術の…が俄然真実味を増す。
エドワードはハボックにひらひらと手を振りながら部屋を出て行く。
ハボックは上司の下に向かうエドワードの背中を見送った。