花冠9話
花冠9話
「さて、報告を聞こう」
タクシーに乗り込んだロイがちらりと向けた視線の先には、タクシー会社の運転手の制服を着たファルマンが収まっている。
運転席から念入りにもタクシー会社の名前の入った封筒にいれた書類をファルマンが差し出した。
「事務所を丸ごと押さえて軍人と入れ替えました。」
「それでいい」
「はい」
「では、やってくれたまえ」
しずしずとタクシーは走り出した。
ロイは用紙に目を通し、燃やしてこの世から消し去った。
ブレダは到着したポイントの公衆電話から本部へ連絡をいれた
「ダリルか?ベイカーだけどよ今ニーノて名前の花屋の前にいる。
あいつ道に迷ったみたいでまだ着いてないんだ。」
ヒュリーにまだ、ターゲットがブレダ達のいるポイントには現れていていないことを伝える。
「迎えに来てくれるって?それはありがたい」
「俺はどこで待ってたらいい?」
「ああわかった。じゃ待ってる」
迎えこと、尾行引き継ぎ要員が送られてくるということだった。
ブレダはそれとなく周囲を警戒しながらハボックの待機する車へと戻る。
「大佐のとこは片づいたってよ」
「こっちに増援回ってくるよな」
「おまえんとこの隊丸ごとと大佐がくる」
「俺はこのままこのターゲットを追う。お前は捕り物担当にチェンジだ」
ちらりと窓から外に目を向けてからハボックが問う
「こっちの取引相手割れたのか」
「中尉が行った倉庫が情報を持ってたらしいな」
らしいというのは暗号で連絡する都合、正確には伝えられない内容もあるというだけのことだ、
「カール・ウィルソンだそうだ」
その名はあまりに衝撃だったのだろう外を見ていたハボックがブレダに向き直る。
「おいおいどこまでほんとだよ」
「ありえねえ…ウイルソンファミリーのほとんどトップに近い位置だぜ、なかなか尻尾すらつかませねえってのに…」
カール・ウィルソン東を中心に影響力あるマフィアの幹部の一人だ、武闘派ではないが、ファミリーの金庫番を勤める大物だ、大事になっているとはいえ正直こんなちんけな麻薬捜査で引っかかってくるような名ではない。
「エドがあたりクジ引いたぞ」
ブレダがニヤリと嫌な笑みを浮かべる。
「あたりか?むしろハズレじゃ…」
「いやアタリだといいな~だな希望だきぼう」
「エド…だしな影武者ひかねえよな~」
今回は成り行きでトラブルを呼ぶ男という称号持ちのエドワード・エルリックを迎えての大規模作戦なのだ来るべくしてきたカードと言えるかもしれない。
「ああ、うちの大佐も出張ってきてるしな」
ブレダとハボックは顔を見合わせ揃ってため息をついた。
二つセットで運用すると危険度が増して小火が全焼になりかねないセットだった。
混ぜるな危険の文字が二人の脳内を乱舞していた。
「エドは?」
ところで、とばかりに作戦配置の話に二人はもどる
「喜べ!お前と同じ現場だぞ」
「ますます…」
「そういうこった。」
大物とご対面となるのは間違いないとハボックはもう一度ため息をついた。