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花冠7話

 

花冠7話

エドワードが作戦参加命令を受けた日、エドワードとロイは執務室を出てぎゃいぎゃいとじゃれ合いながら東方司令部の本館を移動していた。
「君のために資料をさがしてやるのだから、感謝ぐらいしてはどうかね鋼の」
「最後に読んだのが大佐だっていうじゃねえか!てめえがちゃんと片付けてりゃ自分で見つけてるっての!」
「整理がはいるのだから新しい片付け場所はあっているんだ」
「んじゃ担当に聞くって」
「今書庫はひっくりかえっているよ奥から片付けているだろうから私が行った方が早い。
それにこの後会議がひかえているからな、書類に目を通すには少々半端な時間というわけだ」 
「私は忙しい。ぐずぐずするんじゃない!いくぞ鋼の!」
問答無用とばかりにエドワードを従えてロイが歩き出す。
「へいへい~クソ大佐」
と生返事をしながらエドワードはちょろちょろとロイの後をついて書庫に入った。

パタン

と軽い音を立てて扉が閉まったとたんロイとエドワードの顔が引き締まった。
どうやって集まったのかそれぞれ適当に抜け出したマスタング直属の部下たちが集まっていた。
「始める」
ロイのかけ声で本当の作戦会議が始まったのだった。

 

 

ロイはエドワードの作戦参加を宣言し、大変物騒なことを言い出す。
「今日から本件の捜査に鋼のが加わることになる。」
「まずは鋼の、今回の事件今この部屋にいるメンバー以外は信用出来ないものとして覚悟しておきたまえ。何か気がついても他には漏らさないように。」
「了解」
エドワードはあまり声が大きくならないようにぼそりと答えた。
全員でこっそり集まっていられる時間がないのだろう、ロイはいつもの余計なかき回しはいれずに、話をすすめる。
「時間があまりない。とりあえずはそのまま聞いていたまえ後で膝をつめて話そう。鋼の報告書は持ってきたのだろうな」
後半部分はエドワードに向かっての言葉だ。
「おう」
エドワードは持ったまま移動していた愛用の中型トランクから書類をとりだす。
「非常事態だからな人数分の複製を作りたまえ」
ロイはファイルケースに入れて持ち込んだ廃棄される予定の書類束を報告書複製用の錬成材料差し出しす。
静かに手を合わせロイ直属の部下人数分の報告書の複製を作った。
「各自読んで念入りに廃棄しろ」
「イエッサ」
錬成で作られた束を手ずからさっさと部下に渡し次の話題に移る。
この会合は無理を押してある程度の情報の共有をはかるためにおこなわれている。
ごく近い距離にいる。ロイの腹心達とロイが偶然会ったことを装い密談をせねば情報が漏れる状況はニューオプティン並に危機的状況であると言えるだろう。
内通者が居ることは間違いないが、どこに?という回答は出ない。
エドワードにとってもあまり面白くない状況といえた。

それからの数分間で各自が新たな情報を報告しあい、数日後の大規模作戦の確認をしてお開きになった。
ロイの部下達は一人二人と時間を置きながら資料室から出て行くその間エドワードとロイは書棚のサイズが合わずあいたままになっている窪みに二人並んですっぽりはまって、ささやき声で密談する。
「ずっとこんな調子かよ…」
「こんな調子だ」
最後に残っていたフュリーがパタリと音をたてて退出すると、
ロイが自分の腿を音をたてず叩いてもっと側に来いとよぶ
腿の上にまたがるかたちに座らされる。
「すまないね。鋼の、こうしないと話せない程度には軍は信用できないと思ってくれたえ」
抱きしめるようにして耳元に直接声を吹き込む。
エドワードも慣れたもので、ゴロゴロと猫がすり寄るようにロイの耳元でささやき声で返す。
「俺がいま東方に来たのってまずくねえ?それに…この体勢も…」
軍内部の様子がおかしいと思ったからイーストシティに戻ってくる理由を用意し渋々もどってくる体裁を付けて知らせに来たのだがもう少し警戒しておくべきだったかもしれないとエドワードは後悔している。
それはさておき今はふたりして、べったりくっついた状態で万が一、誰からに見られたら弁解の余地なしだろう。
「おもしろおかしく尾ひれがつくだろうが、事実だ、いずれは来ることだ。」
といいつつも本棚の隙間に填っているので入り口をくぐっただけでは姿が見えない。
警戒さえ怠らなければ見つかることはない。
「鋼の、君は私の目と耳だよ。」
くすくすと笑いながら甘い言葉を流し込んでくる男が憎らしい。
エドワードはいつでも戻っておいでといわれているようでこんなときなのにうれしかった。
こんな場所と状況でなければよかったのにと悪態のひとつもつきたくなる。
「鋼のこの部屋の前で立ち止まっているのが分かるかね?」
ロイが物騒なことを睦言のようにささやくのが憎らしい。
「あぁ…うかがってる気配はする。きたのってフュリー曹長が立ち去るちょっと前だよな」
悪意のあるものというのは扉を隔てていて見えなくてもなぜか分かるものだ、こうした感覚は非常に重要で危険を回避するのに無くてはならないものだ、先ほどまでこの部屋に居た面子を含め、自分も含めロイの部下達はそうした感性に恵まれている。
エドワード自身も修業時代の無人島生活である程度生き物が近寄ってくることに気がつくことができる。
生き物の気配を感じその行動を読んで罠を仕掛け捕らえる。
流れは読むのは錬金術の極意。小さな真理を積み重ねを正しく積み上げればそれができあがるのが錬金術。
この世界にある物は何かしらの真理にしばられている。
錬金術とはそうした学問だ。

「私たちはここに居なかった。」

ロイがとつぜんぽつりと言い出す。
その言葉を叶えてやるためにエドワードはそっと手を合わせた。
床に手をつくと青い錬成光があふれぽっかり穴ができる。

二人は迷うことなく飛び込んだ。

 

 

 

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