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花冠5話

 

花冠5話

「お待たせ」
パタンと軽い音をたててエドワードは八百屋に扮したハボックが待つ運搬用トラックの助手席に乗り込んだ。
「じゃ次はどこへ移動だって?」
ハボックが作戦中にも関わらずいつものやる気ない笑顔でエドワードに話しかけた。
へらりと効果音が付きそうなハボックの表情に気が抜けるじゃねーかとエドワードは口に出さずに突っ込みながらハボックの問いに答える。
「5分たったら移動開始時計通りのローズさん家の前まで、
ブレダ少尉と交代予定でブレダ少尉と他2名を拾って
次へ移動だって」
「了解」
ハボックはエドワードが電話連絡で得た情報と新たな命令を遂行すべくトラックを発進させた。
車を運転しながらハボックはさらに詳しく戦況を聞き出すす。
「大佐は?」
「もう一組を追ってる。対象が増えたことは中尉に伝えてもらえるようにたのんどいた。ついでに向こうに応援もそれと大佐からの伝言。
もし感づかれても今追ってるのの身柄は押さえろって」
「へいへい結局ぎりぎりの人数で捕り物かよ~」
人使い荒いよななどとハボックはぼやいた。
「まっ向こうの方がきついじゃないのかな、大佐のボンッで終わっちゃ終わりだけど
今回はまずいんだろ、冤罪だってねじこまれちまう」
今回の作戦では余り強引な手段を用いるのは難しい、例の紙の元を押さえられたとしても薬物反応が出なかったら元も子もないどころか軍の某所とすら繋がっていると噂される組織を相手にしての内部にすら極秘の作戦なのだ、失敗すれば冤罪だと訴えられることも、失敗をこれ幸いとばかりにロイを排斥する口実を与えることにもなる。いつもはホークアイを除いてお気楽なマスタング組の面々も今回はピリピリしており作戦上必要な事項を話し終えたエドワードは昨日からこちら本筋からはずれた余計なことを聞ける隙などなく、聞けずじまいで気になっていたことを窓の外を警戒しながら尋ねてみた。
「なあ聞いてもいいかな…」
「なんだよエド」
「なあ何で大佐が現場に出てるのさ…指揮官だろ…
昨日の機嫌じゃ本人になんて聞けなくって」
何となく想像は付いてるけどとエドワードは小さく付け足した。
「あぁ…おまえあの人の機嫌に気が付いたのか…」
昨日のロイはパッと見ればいつも通りいやいつにも増して冷静な態度をとっていた。
アレをみて切れかけ寸前に怒りを蓄積している状態だと見抜く者はロイに命運を預ける直属の部下達ぐらいだろう。
「てか普通気が付くだろ…あの状態の大佐には背後に立ってほしくねえ…
絶対立ったが最後右手でパンチ入れちまう」
エドワードの台詞にハボックはもっともだとつぶやきケラケラ笑いながら続ける。
「ありゃ某少将殿のせいさ」
「エドおまえも言ってたけどニューオプティンおかしいっていってたろ
捜査しようにもあそこを経由したら足取りが途絶えちまうんだわ、
でてめえの足下の不始末ほったらかしで、せっついたわけだ。」
「あ~でっ大佐が現場でてるんだ…ポーズ」
「っそ。それにうちは万年人手不足だ」
なるほどとエドワードはうなずきさらに疑問を解消すべくさらにハボックに話しかける。
「なるほどそれにしても珍しいよなハボック少尉とこは今回お留守番なんだ」
こうした作戦では機動力に優れたハボックの部隊があたるとこが多いのだが今回の作戦では後詰めとして司令部に半分、残りは無線が使えない関係で味方同士の連携を取るためにビルや軍施設の物見櫓などから追跡中の男と最新の味方の位置情報などを報告する役割をふられている。めづらしいことだった。
「ああうちの小隊は人相悪くてな~あんまりこおいうとこでの作戦はむかないんだ。
ご近所の奥さんから通報される…うちの連中はもっと荒っぽい作戦向きだからな」
「そおだっけ?別にそんな感じしないけどな」
ハボック隊の面々はぱっと見チンピラに見えるたぐいの容貌と言いたいところだが三歩、歩けばテロ屋に、殺し屋に、チンピラにあたってそれを粉砕して歩く兄弟なのだからしてあまたの人相の悪い連中を見てきた目にはハボック隊の面など普通と言い切ってしまえる程度なのだろう。そう…兄だけではなく弟も。
思ったことをまんま伝えたなら頂く報復を恐れてハボックは自己保全のために少しだけ回答をゆがめることにした。
「エドもとうとう軍に慣れちまったか。あれを強面って言わずに何を言うって面だぞ」
「俺もどっちかっていうと奇襲とか囮とかしかやったこないんだけど後は調査、大概単独任務だし…荒事寄り?」
奇襲…調査ってのは視察だとして囮も潜入もこっそりやる物だし…荒立てたらまずい気がしたがいつもどんな生活してるんだよとハボックは心の中でつっこんだ。
危険な任務というより危険な日常なのだろう。
「そうだったな…てことはブレダ隊と行動するのは始めてか?」
「ブレダ少尉のとこは大概バックアップだろお世話になってるのはなってるけど、
今日みたいにがっちりかむのははじめてだよ」
「大丈夫か?」
エドワードは何が大丈夫なんだ?と心底不思議そうにハボックを見上げてくる。
「なにが?不安とか不満は無いよ。あそことは食堂でばったりあって
一緒にメシ食ったり結構日常つきあいがあるから何となくどう動くとかも想像つくしな」
だってそこそこ性格把握してるしとエドワードは言い切った。
「おまえはやっぱり大佐ににてるな」
「はぁ~?」
ロイに似ていると言われるのがよほど不本意なのだろうエドワードは心底嫌そうな顔をしていた。
「やるときは、味方の動きまで計算して先まで読んで動いてるだろ」
「あぁ~?って普通じゃねえの?うちの師匠もそんなだったし
錬金術師だからじゃねえの。師匠もそうだったし…いや師匠は武力制圧…怖いから思い出させるなよ…」
隣の座るエドワードの方を見たハボックは青ざめた子供の顔に一体どんな師匠なのか興味が湧いた。
「ってどんな師匠だよ…軍人?会ってみたいかも」
「頼むからやめくれよ…すっげ~~ぇ軍嫌いだから
会いに行くんだったら一個師団全滅する覚悟で行ってくれよな」
『……』
一個師団…
1万人以上…全滅。
ハボックは生涯鋼の錬金術師に師匠の話を振らないと決めた、そしてもしか接触することになったら退役しようそうこころに誓ったところでローズさん家の前に到着した。
「ポイント到着~っ」
「じゃ俺電話してくる」
と言い残してコートを脱いで小脇に抱えエドワードは車を降りた。

 

 

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